京都市の水道事業は1912(明治45)年4月に蹴上浄水場から始まって今年創設100周年を迎える

創設100周年を記念して・・・という訳ではないのですが

今回は、琵琶湖疏水です



琵琶湖と京都の高低差を利用して 琵琶湖の水を京都で利用する
大事業でした

琵琶湖疏水と聞くとほとんどの方は、インクラインを思い出されるでしょう
線路が引いてあって船が台車に載って行ったり来たりした 桜の名所です。

それとも南禅寺の境内にあるレンガ造りの水路閣でしょうか
二つとも魅力的ですばらしい人間の智恵です。

しかし、今回ご紹介するのはインクラインや水路閣のように有名ではありません

南禅寺から分かれる「疏水分流」に注目しました


観光客の皆さんもたいへん大勢通られるのにほとんどの方が素通りです
それは銀閣寺の近くです。

今回は、南禅寺さんから出発しましょう。
北に向って歩きます。まもなく永観堂です。紅葉ですね説明は要りませんね超有名です

次は若王寺方面に行きます。まもなく哲学の道の登場です。左に行って哲学の道を北に上がります
石畳ですね 京都の市電の軌道に敷いてあった石の再利用です。

道の右下の流れに注目してください。
ご存知のように京都は、北が高く南が低いです。したがって京都の川は北から南に流れます。
しかしここ疏水分流は南から北方面(銀閣寺)に流れています。

当初の計画では ここに大型の水車をいくつも並べて動力を取り出す予定がありました
水力発電の技術の登場で実現しませんでした



哲学の道も京都を代表する観光スポットです
若王寺~銀閣寺までの約1.8km 

その間に大豊神社・霊鑑寺・安楽寺・法然院など上げればきりがありません
いずれの場所もすばらしく桜や紅葉の季節以外でも楽しめます

そろそろ哲学の道の終点です。銀閣寺橋に到着です。

南禅寺方面からきた疏水は「銀閣寺橋」で(多くの観光の方が渡る橋です。
東にまっすぐ行くと銀閣です)西を向きます。
疏水に沿って歩いて行くと銀閣寺交番があります。

目的地に到着しました。


交番の裏の疏水を見ても普通ですね 鯉がいると思いますが・・・・・
橋があります。川が流れています。そうですこれです川の流れが交差しています
地図を見ていただくと分かりますが 東から西に流れる琵琶湖疏水と
北から南に流れる白川が交差しています。交わることなく別々に流れています??????

疏水の水は、白川の下をくぐって流れているわけです
「逆サイホン」と呼ばれる導水技術です。
コーヒーでお馴染みの「サイフォン方式」その「サイホン」を「逆」にした技術です。

簡単な「逆サイホン」の説明図です
sosui zukai-1


銀閣寺方面から来た疏水は Aのようになります(銀閣寺交番裏)
鯉のいる場所に砂などが溜まるように 段差があります
段差を越えて流れます
一部は 左矢印のように脇に流れて下の白川に放流されます

sosui saihon in


sosui shirakawa

Bが「白川」の流れです  疏水から流れ出ている様子が分かります


sosui saihon out

Cが白川の下をサイホンでパスした流れです

sosui man

道路の脇にあるマンホールは 沈殿した砂や汚泥・ゴミを取除くためのものでしょうか


疏水記念館で 山科の毘沙門堂の手前の安祥寺川と疏水のように立体交差でなく
サイホンを採用したのか聞いたことがあるが 明確な答えをいただくことができなかった

まあサイホンの技術は古くからあるもので各地で採用されている

このサイホンでパスした琵琶湖疏水分流は北上して一乗寺方面で西に向う

以前は、その先にある高野川もサイホンでパスしていたが 現在は高野川に放流されて
実質的に途切れてしまっている

しかし、高野川の右岸に松ヶ崎浄水場がありここからの水で疏水が流れているようです
緩いカーブを描いて賀茂川に向う
途中、泉川と交差するが その交差に仕方に注目です
ここは平面交差です
これが結構面白いです うまく考えられています

sosui izumikawa


写真の下から上に流れているのが疏水  右から左に流れているのが泉川です
泉川の流れはコンクリートに仕切りに沿って右(賀茂川方面)に行く(緑の矢印)
もう一方は微妙な段差を落ちてまっすぐ流れていく(緑の矢印)

疏水は下から上に流れるが水位が低いときは(写真のように)左に流れる(泉川に合流)
水位が上ってくると上(賀茂川方面)に流れる
その後、疏水は西に向かい賀茂川をサイホン(復活)でパスして 
最近新しく整備された堀川へ流れて行く


説明が下手で申し訳ありませんが うまく考えられています 水量は泉川が優先のようです
泉川は南下して下鴨神社の東側を神社に沿うように流れて行きます
糺の森を流れている川です


一度、銀閣寺にお出かけになるときはご覧下さい

「行く川のながれは絶えずして、しかも元の水にあらず」です・・・・・・(笑)